冒頭から、結婚の宴です。
せっかくの晴れの日ですが、杏子が少しも笑わない事に、妹・桜子(くどいようですが、こちらが主人公)も心配そう。
嫁入り道具の箪笥は、河原家からの支度金で取り繕えても、中の着物までは用意出来ず、方々から借りてきたものを詰めているんですが、
これが河原家の親戚に気づかれ、杏子は肩身の狭い思いをします。
その夜、河原家の姑の部屋では、夫婦となったばかりの二人が、神妙な顔で座らされています。
ちなみに、亮一は母親をうちわでパタパタ…。この家で一番怖いのは姑のようです。
さっそく、式での失態を咎められる杏子。
「もうしわけありませんっ」と頭を下げると、
「杏子も知らんかったことだそうだで、今日はどうか、堪忍したって下さい」
と、亮一も頭を下げた!
なんだ、かばってくれたりして、案外やさしいとこあるんだなー…と思っていたら。
姑の部屋を出た亮一は、あからさまに不機嫌で、おろおろする杏子をよそに、スタスタと廊下を進みます。
意地悪な事に、自分が通った場所の明かりを、次々と消していくものだから、後に続く杏子は、泣きそうな顔で、薄暗い中を必死で付いていくんですよ~
子供のような嫌がらせ……。
で、とある部屋に入ると、
「ここが君の部屋だわ。始めに言っとく。二度と母の勘に触るような事はせんといて欲しい」
と、ピシャリ。押し殺したような、静かな声が怖い。
でもなんとなく、亮一も母親が苦手(というか嫌い?)な様で。
「母はずうっと離れにおる。人間嫌いで滅多に出てこえへん。その意味では扱いやすいはずだわ」
なんて言ったりしてます。
そして、杏子に浴衣を手渡し、部屋を出る亮一。
当然、着替えようと杏子が帯に手をかけると、なんの前触れもなく突然、障子が開き、亮一が戻ってきました。
「きゃぁ」
と、小さく声を上げて、飛び退ける杏子ですが、
亮一は、つめたーく一瞥くれただけで、淡々と話します。
「これから毎日、朝は三時に起きて、まず母の好物の茄子のぬかみそを漬ける。六時に朝食。その後掃除」
そして傍らにある、バケツ(中には掃除道具一式が入ってます)を持つと、今度は掃除用具の説明。
「雑巾はこれだわ。こっちは板の間用、こっちは畳用、家具はこれで、置物はこれではたく。
障子の桟には、このハタキを使え」
雑巾はともかく、家具と置物は同じハタキでもかまわない気がしますが、杏子はいちいち頷き、一生懸命説明を聞いています。
「あ、それと。
着替えたら向こうにある、僕の寝室に来なさい。
なんぞ質問は?」
「……ぃぇ」←小声。
一応、初夜とかそんな感じのお誘いなんでしょうかね、それは。
雑巾やハタキの説明の、ついでみたいに誘われちゃって。
うわさに違わず、大変なところに嫁いでしまった杏子です。
池鉄さんの、羽織袴での挙式姿は、レミオロメンの「3月9日」と言う曲のPVでも見られるのですが…
同じ花婿でも、こちらはなんとも理想的な、素敵な旦那様なのですよ~
動画サイトで、見られちゃったりします。
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